突然水漏れが起きると、焦ってパニックになってしまいますが、まずは、漏れている水を止めて、原因を特定することが大切です。原因がわからなくては、自分で直すにしても、業者へ依頼をして直すにしても、修理方法や費用もわかりません。ここでは、トイレの水漏れが起こったときの症状と原因をケースごとに簡単に解説しています。また、その対処法、費用についてまとめてみました。トイレのトラブルは放置していると被害が広がってしまうこともあるので、リスクも確認したうえで最適な判断と早急な対処をおすすめします。
トイレのトラブルが起きると、日常生活に欠かせない設備であるトイレが使えなくなってしまうので早急にトラブルを解決する必要があります。しかし、それ以外にもトイレのトラブルをできるだけ早く解決しなくてはいけない理由があるのです。
トイレのトラブルからは、さらに二次被害が発生することがあります。
水漏れによる床板の劣化が代表的な例です。また、合板の接着剤が水漏れによって剥がれ、木材が浮き上がってしまうこともあります。他にも、水が染み込んでいくと床下部分にも劣化が起こるので要注意です。度合いによっては床の張り替えなど余計な出費の元になります。
水漏れによって家電製品の絶縁体の内側に水分が入ってしまうと、漏電が起こります。家電製品の買い替えや電気料金の増加などの経済的な問題以上に、感電や火災といったさらなる大事故への発展が恐ろしいポイントです。
湿気によって水漏れ箇所の周辺にカビが生えます。カビは、アレルギーやシックハウス症候群、ダニの繁殖の原因です。悪化すると壁の張り替えに繋がるケースも。。。
水漏れした場所に電化製品のコードなどがあると、漏電や感電、火災の危険があります。ウォシュレットなどの電源プラグは必ず抜いてから作業を始めましょう。
水を止めないまま修理しようとすると水が余計に吹き出したりして、かえって水漏れが大きくなってしまいます。止水栓はトイレの壁面にある家が多く、マイナスドライバーを時計回りに回すことで閉めます。止水栓を閉めても水が止まらない場合は、水道の元栓を閉めます。ただし、トイレだけでなく全ての水が止まってしまうので注意しましょう。
場合によっては、便器が割れるなどによる水漏れなども考えられます。また、水漏れだと思っていたが、実は結露であったということもあるので、よく現状の確認をしてください。
部品が劣化している場合には、部品の交換を行います。代表的な部品とその価格目安は以下のとおりです。
ボールタップ(4,000~7,000円):トイレタンクの中で弁の役割を果たす部品です。これによって給水をコントロールしています。
蛇口などの接続部分を密閉して、水がもれないようにする部品です。平パッキン、Oリングなどの種類があります。
蛇口の先端からの水漏れを防ぐ部品です。「コマ」とも呼ばれます。
ナットを緩めるのに使います。モンキーレンチのみでも作業は可能ですが、プライヤーがあるとナットが回しにくい場合や錆びついている場合にも対応可能なので便利です。
ネジを外すのに使います。
水を流した後に便器内に水がチョロチョロ流れるのが止まらない、タンク内で給水している音がいつまでも止まらない
トイレタンク内のボールタップやゴムフロートが正しい位置からズレている、ゴムフロートの鎖が絡んでいる、ボールタップやゴムフロートの故障劣化、オーバーフロー管の劣化、トイレタンク自体の不良
タンクのフタを外して中を確認しましょう。オーバーフロー管の中に水が流れ込むほど水位が上がっている場合は、ボールタップの不良です。逆に、水位がオーバーフロー管の先端よりも下になっている場合はフロートバルブの不良と考えられます。ボールタップやゴムフロートの位置がずれていたり、鎖が絡んでいたりする場合は、正常な位置に直し、絡まった鎖をほどきましょう。各種部品が破損、劣化している場合には、交換作業を行います。
それでも水漏れが直らない場合は、オーバーフロー管およびトイレタンク自体に劣化や破損がないか確認しましょう。オーバーフロー管の場合は交換を、トイレタンクの場合は結露防止材が劣化している場合はそれを交換、大きな破損がある場合はトイレタンク自体の交換が必要です。
給水栓や止水栓のあたりから水漏れがある
接続部分のパッキンがズレている、劣化、破損している、ナットが緩んでいる
パッキンの劣化、ナットの緩みのどちらでも、まずはマイナスドライバーで止水栓を閉めて水を止めます。
パッキンの劣化の場合は、パッキンを交換しましょう。また、事前にパッキンの種類を調べて同じ種類の新品を購入して下さい。種類が合っていないと再度の水漏れが起こります。準備ができたら給水管のナットをモンキーレンチなどで緩めて外して下さい。外したパッキンが溶けている場合はほかの部分のパッキンも劣化している可能性があるのでチェックしましょう。新しいパッキンを取り付ける際には、パッキンがズレていると再度の破損や水漏れの危険があるので注意して下さい。
ナットの緩みの場合は、止水栓が折れやすくなっている場合があるので、少しずつ締めていきます。ナットはモンキーレンチなどを用いて慎重に締めましょう。その際には、給水管やホースを支えて作業して下さい。作業が終わったら止水栓を少しずつ開けていき、水漏れが起こらないかを確認します。ナットを締め直しても水漏れが直らない場合は、パッキンの交換が必要です。
水を流すとトイレタンク下部から水漏れする、タンク下側のボルト部分から水漏れする、タンク付近から水漏れする
タンクと便器の間のゴムパッキンの劣化、ゴムパッキンがないディストリビューターの場合はタンクと便器をつなぐホースがきちんと差し込まれていない
タンクを取り外し、パッキンを交換します。まずは止水栓を閉めて水を止めましょう。次に、トイレタンクのフタを開けます。手洗い部分にホースがある場合は、接続部分のナットを外してからフタを開けましょう。ただし、この場合は1人がフタを持ってもう1人がナットを外すという形で2人で作業して下さい。1人でやろうとするとフタを落として破損する危険があります。
フタを外したらレバーを回し、タンク内の水を抜きます。止水栓がきちんと閉まっていれば給水されません。ボールタップ、給水管、タンク下のボルトを外し、タンクを取り外します。ゴムパッキンはタンクの下側にあるので、これを交換します。交換が終わったら逆の手順でタンクを取り付けて下さい。
作業が終わったら止水栓を開け、タンクのフタは開けた状態で水を流しましょう。水漏れが再度起こっていないか、タンクの水が標準水位になっているか、便器内に水が流れているかを確認します。
便座の脇、ウォシュレットのノズル、操作ボタンの下などから水漏れする
各種パーツの接続部分の劣化、リモコンの電池切れ、ノズルにゴミが絡んでいる
まず止水栓を閉め、漏電防止のためにウォシュレットの電源プラグを抜きます。次に、どこから水漏れしているかを確認しましょう。リモコン式のウォシュレットで、ノズルから水が流れ続けていてリモコンを操作しても直らないという場合にはリモコンの電池を交換して下さい。
電池交換でも直らない場合は、ノズルの弁にゴミが絡んでいる可能性があります。ウォシュレットに「ノズルお掃除」などのボタンがある場合はそれを押し、ない場合は手動でノズルを引き出してノズルを掃除します。
ノズルに特にゴミなどがついていない場合は、ノズルを交換しましょう。各ウォシュレットに合った新品のノズルを購入して下さい。特定できない場合はメーカーに問い合わせましょう。また、普段からノズルをきれいにしておくことでトラブルを防止できます。
操作パネル部分からの水漏れの場合は、止水栓を閉め、プラグを抜いて応急処置をして下さい。この場合は自力での修理は困難なので、業者に修理を依頼するのが無難です。
便器と床の接合部から水漏れする
便器の設置不良、便器と排水パイプを繋ぐフランジパテの劣化
床に水漏れがある場合は、どこからの水漏れかわからないことがあります。そうしたときは、便器内に墨汁を垂らし、その水がどこから流れてきているかを特定しましょう。
トイレの排水パイプからの水漏れであると確定したら、止水栓を閉め、レバーを回してタンク内の水を排水します。残った水も、灯油ポンプなどですべて排水しましょう。
タンクを空にしたら給水管と便器を固定しているボルトを外します。次に便器自体を外しますが、この作業は力がいるので2人以上で行いましょう。また、次のフランジパテの取り外し・取り付けができるように十分なスペースを確保して下さい。
便器を外したら、マイナスドライバーを使って古いフランジパテを取り外します。外したら、新品のフランジパテを溝に取り付け、便器を元通りに取り付けます。取り付けの際には便器のボルト穴とボルトが合うように気をつけましょう。
フランジ固定ボルト、給水管を再度接続する際には、ボルトやナットをしっかり固定するように注意して下さい。便器を元通りにしたら再度水を流して、水漏れしなければ修理完了です。
トイレタンクや便器、窓ガラスなどに結露が発生し、床や壁が濡れてしまう
タンク・便器内の水と外気温との温度差、部屋の湿度が高い、トイレ内の換気不足
窓ガラスの結露の場合は、結露防止シートを貼る、断熱ガラスに交換するのが有効です。ドアノブやラッチの結露の場合は、ドアノブカバーを付ける、樹脂製のものに交換するといった対策があります。
トイレタンク付近や便器周辺の結露の場合の代表的な対策は、タンクや便器の下にカバーを付けることです。また、発泡スチロールを切ってトイレタンク内に貼り付け、断熱材として使う方法もあります。タンクが古い場合は交換するのも有効です。給水管や止水栓付近の結露の場合も、タンクと同様にカバーを付けるのが有効です。
トイレの水漏れのすべてのケースが自力で修理可能なわけではありません。専門技術が必要であったり破損や感電の危険があったりする場合には、無理に自力で修理しようとせず水道業者に任せましょう。
軽度の水漏れなら、部品の交換のみでなんとかなる場合もありますが、それも最低限の知識や作業に必要な道具があってのことです。あいまいな知識で下手に部品をいじったり、必要な道具がない状態で作業をしたりすると被害が広がってしまう危険があります。また、部品を取り外したあとに元通りにできなくなるケースもあります。水漏れの程度にもよりますが、自身がない場合にはすぐに水道業者に依頼するのが無難でしょう。
ボールタップやパッキンなどの交換用部品は、それぞれのトイレに合ったものでなくてはいけません。よく確認しないまま適当な部品を買ってくると、合わなくて出費が無駄になったり、取り付けられたとしても規格が合っていなければ再度不具合が起きたりするでしょう。また、これらの消耗品には一般のホームセンターなどには売っていないメーカー独自の部品があったりもします。その場合はメーカーに問い合わせて取り寄せる他ありませんが、手間と時間がかかります。そうした場合は素直に業者に依頼したほうが、早くトラブルを解決できます。
ウォシュレットの故障については、操作パネル下や便座脇からの水漏れについては、自力での解決は困難です。こうしたケースでは、ウォシュレット内部の電装基板の故障や漏電が考えられますので、下手にいじると感電や火災の危険があるからです。必ず業者に依頼するようにしましょう。
また、ウォシュレットの耐用年数はおよそ10年前後です。ウォシュレットが反応しなくなり、故障の原因がリモコンの電池切れやノズルのゴミではない場合は寿命が考えられます。この場合はウォシュレット自体を交換する必要があります。
水漏れが自力で直せそうにない場合には、速やかに水道業者に連絡しましょう。そして、業者が来るまで被害が広がるのを食い止めるために応急処置をしておきます。
最初に、止水栓を閉めてこれ以上水が漏れるのを止めましょう。止水栓は給水栓の部分にあり、マイナスドライバーで右回りに回すことで閉めます。ウォシュレットなどがある場合は、漏電や感電防止のために電源プラグを抜いておきましょう。
水漏れの規模にもよりますがタオルなどで水漏れをせき止めておく、便器やタンク内の水を汲み出しておくなどの応急処置をして下さい。あくまで応急処置にとどめておき、あとは下手に手を出さないようにしましょう。
また、わかるようなら事前に便器のメーカーを調べておきましょう。部品交換が必要な場合、メーカーがわかっていればそれに合わせた部品を事前に用意してもらうことができます。
水道業者はインターネットなどで調べることができます。また、普段から万が一のトラブルに備えておすすめの水道業者を調べておくといいでしょう。(トイレのトラブル時に「頼れる水道業者」ランキングを見る>>)
水道業者に依頼するときに注意点は以下のとおりです。
費用がいくらかかるかはもっとも注意するべき点でしょう。水漏れのケースや程度によっても費用は大きく変わるので、業者の公式HPにケースごとの記載があるなら、おおよそどのくらいの費用になるかを調べて下さい。また、見積料、出張料金、休日夜間料金などが加算されるかも重要です。業者によっては費用が割引になるweb割引やキャンペーンを実施していることもあるのでチェックしておきましょう。
業者によって対応エリアが異なります。大手だと全国47都道府県対応しているところもありますが、一部地域が対象外となっている場合もありますのでチェックしておきましょう。時間については24時間365日対応している業者だと、深夜や早朝、休日や年末年始などでも対応してくれるので助かります。
指定給水装置工事事業者とは、市町村によって「給水区域において適正な水道工事が行える」と認定された業者のことです。従って、この認定を受けている業者は信頼できる業者であると言えます。
水廻りのトラブルは、一度解決しても再発する場合や、後から別の場所のトラブルが起こる場合があります。そうしたときにアフターフォローをしてくれる業者だと安心です。
自力で修理できれば、かかる費用は交換用の部品代と修理に使う道具の料金のみとなります。自宅にビニール手袋やバケツなどの道具、モンキーレンチやドライバー、ウォーターポンププライヤーなどの工具があればそれらの料金はいりません。
これらの道具・工具については道具類なら数百円から千円前後、工具類は千円前後から2,000円程度が目安でしょう。交換用の部品の価格は種類によって大きく異なり、数百円から3,000円程度となります。
水漏れのケースによって必要な部品は異なりますが、パッキン交換程度なら数百円で済みます。
業者に修理を依頼する場合は、業者によっての違いはもちろんのこと、水漏れの原因やケースによって大きく費用が変化します。基本的にパッキン交換がもっとも安く、便器やタンクの交換がもっとも高くなります。金額は、パッキン交換なら4,000円前後、便器やタンクの交換は25,000円程度が相場です。
業者の費用は見積料や出張料が別だったり、基本料金に部品代が加算される形だったりするので公式HPで確認しておきましょう。
また、これらの料金に割引キャンペーンが適用されることもあるので、実際の費用はかなり安くなる場合もあります。(業者へ依頼する場合のトイレの水漏れ修理の相場を確認>>)
トイレの水漏れを解決するには、自力で修理するか業者に頼むかの2択となります。それは、水漏れの程度が軽度な場合や、十分な知識や道具がある場合には自力での修理が可能だからです。まずは水漏れの状況を確認しましょう。
止水栓を止めるなどの応急処置をしたら、原因を特定しましょう。水漏れの主な原因は、各種部品の劣化や不具合、ウォシュレットの故障です。原因が特定できたら、部品交換などの修理を行いましょう。
交換する部品がわからない、ウォシュレットが故障しているなどの場合は業者に依頼して下さい。業者を選ぶ際には、料金体系、対応時間、指定給水装置工事事業者の認定の有無などをチェックしましょう。