トイレがいきなり詰まってしまった! そういうときに自宅にあると便利なのがおなじみのラバーカップです。よく聞く「すっぽん」という名前のほか、「プランジャー」「通水カップ」「吸引カップ」といったようなさまざまな名前で呼ばれています。
ラバーカップは、トイレのつまりを直すための道具としてはもっとも一般的なもので、ホームセンターなどに行けば1,000円前後で販売されています。また、ラバーカップには排水溝用、洋式便器用、ツバ付きの3種類があります。トイレつまりの症状から対処方法を確認する場合には別ぺージで紹介しています。それでは、ラバーカップの使い方を確認してきましょう
原因がスマホなどの固形物であった場合、ラバーカップで押し込むのは得策ではありません。(ステップ1の詳細へ)
事前に便器周辺に新聞紙やビニール、雑巾などで養生しておきましょう。(ステップ2の詳細へ)
養生ができたら、カップ部分がかくれるだけの水量にするために便器内に水を足します。(ステップ3の詳細へ)
カップを潰して中を真空にするイメージで押し込みます。(ステップ4の詳細へ)
動作が大きいと水が跳ねるので気をつけましょう。(ステップ5の詳細へ)
便器内の様子を見ながら、押し引きを繰り返します。(ステップ6の詳細へ)
引っかかっている異物が移動してきたら取り除きます。(ステップ7の詳細へ)
これまで紹介してきたラバーカップの使い方、注意点など一つずつ細かくポイントを紹介していきます。
ここでは、ラバーカップを用いてトイレのつまりを直すときの注意点をまとめてみました。
つまりが解消したかどうかを確認するために水を流すのは危険です。ハンドルを回すとトイレ洗浄1回分の水が流れるので、もしつまりがまだ直っていない場合は便器から水が溢れてしまう危険があるからです。つまりが直ったかどうか確認するには、バケツやヤカンを使って少しずつ水を便器内に流し入れ、水がスムーズに流れるかどうかを確認しましょう。また、この方法でつまりが解消したと判断されても、ハンドルは一気にではなくゆっくり回すようにして下さい。
また、つまったときにいきなり大量の水でつまったものを押し流そうとするのも危険です。水が流れなかった場合、流し込んだ水が便器からあふれてしまいます。
つまったものを溶かそうとして、便器内に熱湯を流すのはNGです。熱湯だと陶器製の便器にヒビが入り、さらに状況が悪化する可能性があるからです。
自動洗浄機能がonになったままだと、作業中に勝手に水が流れてしまいます。作業前に必ずoffにしておきましょう。
つまりの原因によっては、ラバーカップでは直らないこともあります。スマホなどの固形物を流してしまった場合、便器ではなくその先の排水管がつまっている場合、男性用小便器で尿石の付着によって水が流れなくなっている場合などはラバーカップでは直せません。
ラバーカップには、カップの底が出っ張っているトイレ用、出っ張りのない排水口用、節水型便器用のツバ付きの3種類があります。ラバーカップの種類を間違えてしまうと作業がちゃんとできないので、作業前にラバーカップの種類を確かめておきましょう。
作業前のチェックが終わったら、次は汚水の飛び散り防止の処置を行いましょう。汚水が飛び散っても大丈夫な状態にしておけば、ラバーカップをしっかり動かすことができます。
手が汚れないように、ゴム手袋をはめます。ない場合は、使い捨てのビニール手袋でもいいでしょう。
まず、床が汚れないようにトイレマットはどけて、便器の周りの床に新聞式を敷きます。また、壁にも新聞紙を貼り付けます。特に壁は床よりも水濡れに弱いので、厳重にやっておきましょう。
ビニール袋の中心に穴を空け、ラバーカップの柄の部分に通して固定します。こうすることでラバーカップを押し引きするときに汚水が飛び散るのを防げます。また、ラバーカップは押し引きして使うので、ビニール袋はある程度の遊びをもたせて固定しましょう。
ビニール袋を便器にテープで貼り付けて、汚水が飛び散らないようにします。
便器の周囲の養生が終わったら、次は便器内の水量を調節します。
ラバーカップはカップ内を真空状態にしてつまりを直す仕組みなので、カップ部分がすべて水に浸かるだけの水量が必要です。ラバーカップを排水口にかぶせてみて、カップ部分すべてが水に浸かっているかどうかを確認しましょう。便器内の水が徐々に流れていたりするとカップ部分が水に浸からないので、水が足りないようなら追加していきます。ただし、ここでレバーやハンドルを回して水を流してはいけません。その操作だとトイレ洗浄1回分の水が流れてきてしまうので、便器から水があふれてしまう危険性があります。水を足す際には、必ずバケツやヤカンを用いて、便器内の水の量を確認しながら少しずつ水を足していきましょう。
水を足しすぎると、作業中に汚水が飛び散りやすくなったりあふれやすくなったりして危険です。便器内の水の量は、便器の上から10センチ程度は空けられるくらいの量にしておきましょう。
水を足し終わったら、いよいよ本格的な作業を開始します。
便器内の排水口にラバーカップのカップ部分を密着させて、柄をゆっくり押しましょう。カップ部分が潰れるようにするのがコツです。カップ内の空気をすべて押し出して真空状態にするイメージで行いましょう。
よく勘違いされているポイントですが、ラバーカップは引いてつまりを直すものであって、押してもつまりは直りません。激しく押しても効果はないので、押すときはゆっくりとやりましょう。また、むりやり押して使うとつまったものがさらに排水口の奥へと押しやられてしまい、つまりが余計直りにくくなってしまう危険性があります。「ラバーカップは引いてつまりを直すもの」ということはよく覚えておいて下さい。
排水口にカップ部分を押し付けたら、次は引っ張ります。押し付けるときはゆっくりですが、引くときは一気にやりましょう。ただし、あまり動作が大きいと周囲に汚水が飛び散ってしまうので気をつけて下さい。
また、引くときはカップ部分が水から出ないようにしましょう。ラバーカップは水圧の変化を利用してつまった異物を取り除く道具なので、引くときにカップ部分を水の外に出してしまうと効果がないのです。加えて、便器内の汚水が飛び散りやすくなってしまいます。引くときも前述の通り、「ラバーカップは引いてつまりを直すもの」ということをしっかり意識して下さい。
つまったものが逆流したり移動したりするのは引いたときなので、便器内の水の状態や音に注意しましょう。
押し付けて引くのを繰り返します。便器内の水の量が減らないようであればつまりは解消されていないので、何度か繰り返してみましょう。カップを排水口から離さないようにして押し引きを繰り返すのがコツです。便器内の水が引いていったら、つまりが解消された証拠です。
何度か押し引きを繰り返していくと、つまった異物が取れたり移動したりすることで便器内の水位が低くなることがあります。しかし、そこで一気に水を流したりすると、せっかく取れかかっていた異物がまた排水口につまってしまったり、水が十分に流れずにあふれてしまったりするので、バケツやヤカンなどを使って少しずつ水を流すようにして下さい。
また、つまりの原因となっていた異物が逆流してきた場合は、必ず便器内から取り除くようにしましょう。もう一度流してしまうと、また異物がつまってやり直しになってしまいます。
一連の作業をまとめると、以下のようになります。
トイレのつまりは、その原因によってはラバーカップでは直らない場合があります。ここでは、そうした場合の原因と対処法を見ていきましょう。
まず、排水マスをチェックして症状を確認します。便器内に異物を流した覚えがない場合は、排水管がつまっていることがあります。
次に、便器内にゆっくり水を流して、その流れを観察してみましょう。水が一切流れない場合は、ラバーカップで取り除くのが困難な異物が詰まっている可能性が高いです。何度かラバーカップを試してみて解消されないようなら、無理にラバーカップを使うのはやめておきましょう。
水位がいったん上がって、そこからスーッと引くような場合は、携帯電話などの固形物がつまっている可能性が高いです。こうした場合は便器そのものを取り外して除去しなくてはいけません。
つまったものがトイレットペーパーなら、水で溶けますしラバーカップで十分除去できます。しかし、トイレットペーパー以外がつまった場合はラバーカップでの除去が困難になります。
携帯電話やおもちゃなどの固形物、水に溶けない紙・布、水を吸収して膨張する紙おむつ・生理用品がつまっていた場合は、ラバーカップでの除去は難しいでしょう。(トイレつまりの原因特定のポイントを確認する場合はこちら)
仕組みとしてはラバーカップとそう変わりませんが、より強力な圧力をかけることができます。また、カップ部分を押し当てたまま吸引できるので汚水が飛び散りません。(真空式パイプクリーナーの使い方詳細へ)
圧力をかけるものではなく、排水口内にワイヤーを挿入する道具です。ワイヤーの先端部についたヘッド部分をL字クランクで回すことでつまったものを粉砕する仕組みとなっています。
つまったものがトイレットペーパーなどの水に溶ける紙類、便などの場合は、時間経過で溶けてつまりが自然に直ることもあります。
つまったものの種類によっては、便器を取り外したりする必要があります。自力でどうしようもない場合には専門業者に依頼しましょう。(専門の水道業者の選びの詳細へ)
和式と洋式では、適したラバーカップの種類が異なります。
前述のとおり、ラバーカップには大きく分けて、一般的なお椀型の形状のもの、お椀型に出っ張りがついているもの、節水型便器用のツバがついているものの3つの種類があります。
洋式の場合、適しているのは出っ張りがついたものです。この出っ張りを便器の排水口にしっかりと密着させることで、真空状態を作り出してつまったものを取り除くことができるのです。
和式の場合、適しているのは出っ張りのない、一般的なラバーカップと聞いてイメージするタイプです。和式便器と洋式便器は構造が異なるので、ラバーカップが間違っていると十分な効果が発揮できません。現代では、自宅のトイレが和式ということは少ないでしょうから、基本的には出っ張り付きのものを用いることになるでしょう。
不意にトイレのつまりが起こったときにちゃんと使えるようにしておくために、ラバーカップを使った後はしっかりとお手入れをしておきましょう。
ラバーカップを洗うときには洗剤などは使わず、水だけで洗うのが正しいやり方です。ラバーカップのカップ部分はゴム製なので、洗剤や漂白剤を用いると劣化してしまい、破れやひび割れの原因となります。また、洗った後には完全に乾かしてからケースに戻すようにしましょう。半乾きの状態でケースに戻すと、雑菌が繁殖したりカビが生えたりしますし、悪臭の原因にもなります。虫が湧くこともあるので、トイレの中を清潔に保つためにも、洗ったラバーカップは必ず乾かしておくことが大切です。乾かすときはベランダなどに置いて天日干しをするのがいいでしょう。
・ラバーカップによって、つまっているものが引っ張られて水に触れることで溶けて流れやすくなる。
・隙間を開けずに密着させることで効果を高められる
・購入時にはサイズと形を間違えないように注意
・真空状態を作ってから引っ張る
・水を流すときには少量の「小」で流す
どの会社でもラバーカップを使う際には、しっかり密着をさせた上で引っ張ること、また購入時のサイズはくれぐれも間違えないように注意することです。
それでは、最後にラバーカップの使い方をもう一度おさらいしてみましょう。